日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 大学受験真っ盛りである。全国各地の大学では、悲喜こもごもの合格発表が繰り広げられていることであろう。
 と、ここまで読んだところで、アレ?とお思いになった方も大勢いらっしゃるかもしれない。実は、冒頭の2行には、間違ったことばの使い方をしている箇所がある。どこかお分かりであろうか。
 答えは、「悲喜こもごもの合格発表」の部分。「悲喜こもごも」を、喜んでいる人と悲しんでいる人が入

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 「Aさんは辛党だ」と言ったとき、みなさんはAさんの好きな食べ物は何だとお考えになるだろうか。
 激辛のもの、あるいは、しょっぱい(塩辛い)もの、はたまた、お酒だろうか。
 正解は、お酒である。ところがこの「辛党」を、激辛のもの、しょっぱい(塩辛い)ものが好きな人という意味で使っている人が増えているようなのだ。インターネットで検索しても、その意味で使っている文章が数多く見つかる

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 最近はほとんど聞かなくなったが、以前はテレビやラジオの野球中継で、アナウンサーが「あわやホームラン!」などと叫んでいるのをよく耳にした。もちろんこの「あわや」は誤用なので、放送では意識して使わないようにしたのであろう。だが、インターネットでは、いまだにこれに類する誤用が検索に引っかかるのである。
 「あわや」という語は、危険などが身近に差し迫っているさまを表す語で、「あわや自転車にぶつ

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 小学生向けの国語辞典は現在10社ほどの出版社から刊行されているのだが、そのほとんどが総ルビになっている。総ルビというのはすべての漢字に振り仮名が付いているということである。なぜ小学生向けの辞典がそのようになっているのかというと、小学生の間に広まっている「辞書引き学習」に、低学年からも取り組めるようにという配慮なのである。「辞書引き学習」の開発者である深谷圭助氏は、講演会やワークショップなどで必ず

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 歴(れっき)とした日本語なのに、語源がわからなくなって外来語だと思われていることばが結構ある。第66回で紹介した「すててこ」もそうだが、「駅構内でのチラシ・ビラ等の配布を禁止します」という貼り紙などでよく見かける「ビラ」もそういったことばの代表と言える。このような貼り紙では「チ

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