日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 「純潔」「潔白」などの「潔」は、訓読みをすると「いさぎよい」である。送り仮名は「潔い」で「潔よい」ではない。ところが、この「いさぎよい」の「よい」を「良い」と考えて、「潔よい」と送り仮名を付けたり、「いさぎ良い」だと思ったりしている人がかなり増えているようなのだ。
 「いさぎよい」は語源のはっきりしない語なのだが、「いさ・きよい」なのではないかという説が有力である。『日本国語大辞典 第

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 「辞書引き学習」の発案者である深谷圭助氏(中部大学准教授)が、Facebookで「きめ細かな指導」と「きめ細やかな指導」では、どちらが正しい言い方なのかという投稿をしていたので、思わず「いいね!」ボタンを押してしまった。深谷氏も書いていたのだが正しくは「きめ細か」の方である。だが、従来なかった「きめ細やか」が実際にはかなり広まっているようなのだ。
 「きめ」は「木目」で、木材の断面に見

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 朝日新聞にbeという土曜発行の別刷り版がある。その紙面に、読者が選んだ「気持ちの悪い日本語」のランキングというのが載り(2013年6月1日付)、第2位に「全然似合いますよ」がランクインしていた(第1位は「1000円からお預かりします」)。
 be紙では、読者が気持ち悪いと感じたこの「全然似合いますよ」の「全然」を、『「全然」の肯定形で、かなり一般化した言い方。服装を気にする相手にこう言

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 第164回で「2年ぶり」などの「ぶり」について書いたが、同じように時間を表す語について「3日おき」などと使う「~おき」も、実際にはどれだけの間隔なのかすぐにはわかりにくい語かもしれない。
 「おき」は、「ぶり」とは違って、時間だけでなく距離や数量を示す語とともに使わ

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 「断トツの最下位から、つながりやすさNo.1へ。」
 少し前の話だが、ある携帯電話会社のこんな広告が話題になった。携帯電話が「つながりにくい」ということを認めた自虐的なコピーが評判になったようだが、今回話題にしたいのはそのことではない。「断トツの最下位」という言い方の方である。
 「断トツ」は「ダントツ」と書くことも多いのだが、この語の語源をご存じだろうか。お手元の国語辞典を

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