目からウロコ!数え方のナゾ

~ 『数え方の辞典』収録のコラムより ~

第6回 捕っても豊富!魚の数え方

生きている状態では、魚類は「匹」で数えます。しかし、ひとたび水揚げされると、もはや生き物としてではなく、商品や獲物として数えられるようになります。釣りや漁の獲物としての魚は「尾(び)」で数えられることが多いのですが、商品や食料としての魚には、この段階で形状や性質に応じてさまざまな数え方が出現します。例えば、サンマやイワシ、タチウオといった細長い魚類は「本」、ヒラメやカレイなどの平面的な魚類は「枚」で数えます。

魚を調理する際にもさまざまな数え方が現れます。例えば、アジなどの魚を開いて干物にすると「枚」、イワシなどの小さい魚を連ねて干したもの(目刺し)は「連(れん)」、鰹節(かつおぶし)は「本」で数えます。また、ウナギを開いて串(くし)に刺すと「串」、蒲焼(かばや)きは「枚」で数えます。

魚を上身・中骨・下身にさばくことを「三枚下ろし」といいますが、特にマグロは加工段階に従って数え方が豊富です。マグロを解体していくと、頭と背骨を落とした半身の、さらに半分は「1丁」「2丁」、ブロック状の肉片は「ひところ」「ふたころ」と数えます。それを短冊状に切り分けると鮨屋(すしや)のショーケースに見られる大きさになり、これは「ひとさく」「ふたさく」で数えます(もしスーパーで売られる過程を加えるなら、「1パック」「2パック」も入ります)。刺身や握り鮨になる魚の切り身は「切れ」で数えます。

著者:飯田朝子(いいだあさこ)

東京都生まれ。東京女子大学、慶應義塾大学大学院を経て、1999年、東京大学人文社会系研究科言語学専門分野博士課程修了。博士(文学)取得。博士論文は『日本語主要助数詞の意味と用法』。現在は中央大学商学部教授。2004年に『数え方の辞典』(小学館)を上梓。主な著書に、『数え方もひとしお』(小学館)、『数え方でみがく日本語』(筑摩書房)など。

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