目からウロコ!数え方のナゾ ~ 『数え方の辞典』収録のコラムより ~
特別編7
カンチューハイ「二本」分のドラマ
「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの
俵さんは、歌人の中でもお酒好きで有名で、『百人一酒(ひゃくにんいっしゅ)』という、数え方の妙を熟知したタイトルのエッセイも書かれています。言うなれば、酒と数え方の最高の味わいを醸造する歌の名杜氏。この作品も、見事に「二本」という数え方で、登場する男女の関係を描き出しています。
想像してみてください。チューハイを缶で飲むという状況は、居酒屋や洒落たバーなどではなく、おそらく彼のアパートといった日常的な場所でしょう。お金はないけど、仲睦まじい男女。彼女は「何か作るね」と言って立ち上がり、彼の冷蔵庫の中に残っている有り合わせの材料で、ささっと気の利いたおつまみなどを作ります。それが、ちょうど彼が缶を2本空ける時間。そして、出されたつまみを口にした彼が、思わず「嫁さんになれよ」と口走ってしまう――そんなほほえましい光景が目に浮かびます。「二本」という数え方の中にこんなドラマを思い描いてしまいますね。
俵さんの"数え方杜氏"としてのセンスがどれくらい素晴らしいのかを説明するために、ちょっと名歌に手を入れてしまいましょう。
「嫁さんになれよ」だなんてチューハイ二杯で言ってしまっていいの
どうですか?これだと、飲み屋でたまたま隣に座った女性を、酒に弱い男性が「誰でもいいから、俺の嫁さんになってくれ!」と、口説いているだけの、何だか安っぽくて酒くさい歌になってしまいませんか?「二本」と「二杯」。数え方をたった1文字変えるだけで、こんなにも歌の雰囲気が変わるのです。
記事一覧
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- 第4回 人魚は「1人」?それとも「1匹」?
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特別編一覧
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- 特別編2 思わず食べたくなる「玉」
- 特別編3 携帯電話も「1台」から「1個」へ
- 特別編4 「腹」をくくって数える魚の卵
- 特別編5 数え方を知って、正しく薬を服用しよう
- 特別編6 「1コ」でもっと軽くなる
- 特別編7 カンチューハイ「二本」分のドラマ
- 特別編8 「ちょっと1杯」はどれくらい?
- 特別編9 見上げてごらん、空の数え方
- 特別編10 「か国語」はもう古い? 言語の数え方
- 特別編11 「三大○○」に見る、3という数の力
- 特別編12 「匹」と「頭」の意外なルーツ
- 特別編13 “数え方のデパート”大相撲
- 特別編14 携帯の普及で分化、メールの数え方
- 特別編15 偶数と切っても切れない豆腐の数え方
- 特別編16 一貫しない鮨の数え方の由来