次の文章はとこかが間違っています。その部分を指摘して理由を考えましょう。
【問1】彼は底なしに明るい性格で責任感も強く、みんなからグループのリーダーと考えられています。
【答】「底なし」の使い方が間違っています。
この例文では、「底抜けに明るい」とすべきところでしょう。「底抜け」は物の底が抜けてないことのほかに、程度が並外れていて際限がないこと、度外れなことという意味があります。
【問2】創業以来、社長の右腕としてご奮闘なさった副社長も、来月馬齢七十を数えられるそうです。
【答】「馬齢」の使い方が間違っています。
例文では、副社長の年齢を「馬齢七十」と言っていますが、「馬齢」は、自分の年齢を謙遜していう場合に用いる語で、これでは副社長に失礼です。
【問3】今回の損失は、すべからく君の判断ミスから生じたもので、全責任をとってもらうことになるだろう。
【答】「すべからく」の使い方が間違っています。
「すべからく(須く)」は、漢字訓読による語で、多くは下に「べし」を伴って、ある事をぜひともしなければならないという気持ちを表し、「学生は、すべからく学問を本分とすべきである」のように使われます。例文は、「すべて」とすべきところでしょう。
【問4】我が校の野球部は、先輩たちが築いた古来からの伝統を大切にしています。
【答】「古来から」が重複表現になっています。
よく使われる表現なので、間違いとは言いがたい面もありますが、「古来」は「古くから」という意味で、すでに「から」の意味を含みもつため、避けた方がいい表現といえます。例文は、「古来の伝統を」とすべきところでしょう。
【問5】所定のレポートをまだ未提出の学生は、次回の講義までに必ず準備しておくように。
【答】問4と同様、重言(同じ意味の語を重ねた言い方)となっています。「まだ未提出」の部分が重複した表現で、「まだ提出していない方」「未提出の方」とすべきでしょう。
【問6】某国のスパイ活動が、国民には隠密裏のうちに進められている。
【答】問4・5と同様、重言の部分があります。「隠密裏のうちに」がそれに当たります。
「裏」は「裡」とも書き、「そのような状態のうちに」という意味で、「うちに」という意味をもっています。例文は、「隠密裏に進められている」となります。
【問7】百年ぶりに復活した祭りが、古式豊かに執り行われました。
【答】「古式豊かに」が間違った表現です。
「古式に則って」または「古式床しく」などと言うべきところでしょう。
【問8】古い友人に出会い、昔日の感に堪えない。
【答】「昔日の感」が間違いです。
「昔日」は、過去の日々、むかし、いにしえの意味で、「昔日の面影を残す」のように使います。例文の場合は、「隔世の感(変化が激しく、まるで世代が変わってしまったような感じ)」や「今昔の感(今と昔を思い比べて、あまりに違っているのに心を打たれること)」などと混同されたものと思われます。