次の文章はどこかが間違っています。正しい表現に直してください。
【問1】選挙を一か月後にひかえ、候補者はあちらこちらの会合に出席して愛想を振りまいている。
【答】「愛想を振りまく」が間違い。
「振りまく」に合うのは「愛嬌」で、「愛想」は「お愛想を言う」「愛想が悪い」「愛想を尽かす」などと使います。
【問2】あの気弱な子供が、今は地元で押しも押されない実力者といわれるようになっている。
【答】「押しも押されない」が間違い。
「押しも押されもしない」「押しも押されもせぬ」が正しく、地位などがゆるぎない状態であることを言います。
【問3】あれほどはっきりと意見を言う友が、今回は口を濁(にご)して、僕の決断に賛成とも反対とも言わなかった。
【答】「口を濁す」が間違い。
正しくは「言葉を濁す」と言います。「口が過ぎる」など、「口」には言葉や発言の意味があるため、混同したものでしょう。
【問4】彼はだまされていることも知らないで、彼女との見込みのない恋に骨身をやつしている。
【答】「骨身をやつす」が間違い。
例文では「憂(う)き身をやつす」とすべきところでしょう。「骨身」は、「骨身を削る」「骨身に応える」「骨身にしみる」のように使います。
【問5】先輩の話によると、十年前に、この事業の先鞭(せんべん)を切ったのは、わが社の商品開発部門だったということです。
【答】「先鞭を切る」が間違い。
この例文では「先鞭を着ける」というべきでしょう。「先陣を切る」などと混同したのでしょう。
【問6】あんまり出しゃばりすぎると、出る釘(くぎ)は打たれるんだよ。
【答】「出る釘は打たれる」が間違い。
正しくは「出る杭(くい)は打たれる」で、才能ある人はとかく人から恨まれるものだ、また、差し出たことをする人は非難され制裁を受けるという意味です。
「釘」を使った慣用句には「釘を刺す(約束をたがえないよう念を押す)」「糠に釘(手応えがなく効き目がないこと)」などがあります。