次の文章は、どこかが間違っています。その部分を指摘して理由を考えましょう。
【問1】世の中の動向から見れば、流れに棹(さお)さすことになりますが、旧態依然の制度と言われても、この制度は残していきたい。
【答】「流れに棹をさす」は、水の勢いに乗るように、物事が思いどおりに進行するという意味です。
例文のように、時流・大勢に逆らって何かをするという意味で使うのは誤りです。
【問2】友人が困っているからといって、援助するだけではいけません。情けは人のためならずと言うくらいですからね。
【答】「情けは人のためならず」は、人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくるという意味です。
例文は、親切はその人のためにならないので、親切であるばかりではいけないという意味に誤って用いています。
【問3】枯れ木も山のにぎわいといいますから、ご遠慮なさらず奮ってご参加ください。
【答】「枯れ木も山のにぎわい」は、枯れ木でも山に風情を添えるのに役立つことがあるということで、つまらないものでも、ないよりはましであるという意味です。
例文は、参加を促している相手を枯れ木にたとえることになるので、相手に失礼な言い方となります。
【問4】あいつは小ずるいところがあって、気が置けないやつだ。
【答】「気が置けない」は、遠慮したり気をつかったりする必要がなく、心から打ち解けることができるという意味です。
例文は、誤って、気が許せない、油断できないなどの意味で使っています。
【問5】部長の説教は現場の状況を知らない的はずれな指摘が多く、まったく薬にしたくもない。
【答】「薬にしたくもない」は、薬にしたくてもないということで、ほとんどない、まったくないというときに使います。
例文は、部長の説教など薬にしたくないという意味で用いようとしています。