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株式会社ニコリ パズル制作会社
とことん遊び尽くす、学び尽くすパズルカンパニー

6万6666語収録した世界最大のクロスワードパズル「メガクロス」。なんと3年の月日をかけて作ったそうです。作成の際にはジャパンナレッジが役に立ったとか。メガクロス作りの苦労話を中心に、その制作の裏側をニコリの安福良直編集長と荒井奈緒さんに伺いました。

肝はクロスワードのマス作り

株式会社ニコリ

1980年8月、日本初の総合パズル専門誌『パズル通信ニコリ』創刊。“ニコリ”の由来は代表取締役社長の鍜治真起(かじ・まき)氏が雑誌名を考えていたとき、「イギリスのダービーで『ニコリ』という馬が一番人気」という記事が目に止まったからだそう。83年1月株式会社ニコリ設立。「数字は独身に限る(数独)」は同年8月から掲載。現在、年間30点以上のパズル本を刊行するとともに、全国紙、地方紙、週刊誌など150以上の媒体にパズルを提供。また2003年から海外にも進出。これまでに世界22か国の出版社、新聞社などにパズルを提供している。

取材・文/角山祥道 写真/五十嵐美弥

――クロスワードパズル「メガクロス」の最も苦労したところは?

安福 メガクロスに限らず、クロスワードパズルは、実はマス作りから始まります。

荒井 ニコリのクロスワードは、シンメトリー――対称になっています。見た目の美しさも重要と考えているんです。

安福 メガクロスの場合、このマス決めが難しい。例えば、2文字の単語は、だいたい2000から3000しかありません。つまり、2マスをこれより少なくしなければなりません。通常のクロスワードで多用する2文字、3文字、4文字の単語の絶対数が足りないのです。

荒井 そこで今回は、同音異義語も使用OKとしました。「アサ」だったら「朝」も「麻」もあり。「キリン」だったら、動物名でも用いましたし、お笑いコンビ・麒麟も登場しています。それでも言葉が足りなくて……(苦笑)。
英語のクロスワードの場合は、動詞や前置詞も使っていいのですが、日本では、普通名詞・固有名詞・代名詞など、活用しない言葉のみを使うのがルールなので、そのあたり、非常に苦労しました。

安福 横13m、縦90cmを46ピースに分割し、10人以上で並行して作業していきました。私も、荒井もそのメンバーのひとりです。地名・アニメ・鉄道・相撲・お笑い・ゲーム・競馬……と担当者ごとに、得意分野を割り振って、そこから出題することで、言葉の重複が起きないようにしました。

荒井 ポケモンの名前もたくさん入っています。私は、得意分野の古典文学やお笑いから、たくさんの言葉を使わせていただきました。

安福 マス決め、言葉選び、ヒントの作成、問題チェック、という順で作っていきました。2013年からメガクロスを作り始めたのですが、ようやく昨年2015年の末から問題のチェックに入ることができました。通常業務をやりながらの作業でしたので、想像以上に、時間がかかってしまいました。

メガクロスに一役買ったジャパンナレッジ

――ジャパンナレッジのコンテンツではいちばん、どれが役に立ちましたか。

荒井 『日本国語大辞典』には本当に助けられました。日本最大級の国語辞典ですから、「ここに載っている言葉ならOK」というジャッジにも使えました。「メガクロス」の中には、『日本国語大辞典』にしか載っていない言葉が入っています。たとえば「ヤマシオ(山潮)」(山津波に同じ。山崩れの大規模なもの、の意)とか。
それと『世界大百科事典』にもお世話になりました。「ハメル」(『朝鮮幽囚記』を著した17世紀のオランダの船乗り)とか「パナイ(島)」(フィリピン中部ビサヤ諸島にある島)とか。同じく『イミダス』や『現代用語の基礎知識』も活用させていただきました。

「メガクロス」についてくる、タテ用ヒント、ヨコ用ヒント、そして答えの本。

安福 ほかのパズル制作会社もきっとそうだと思いますが、パズル制作にジャパンナレッジは欠かせません。ニコリでも、2010年頃からジャパンナレッジ会員になって、利用しています。普通のクロスワードだけでなく、漢字パズルや英語のクロスワードを作るときも、ジャパンナレッジは重宝するんです。

荒井 ジャパンナレッジ会員じゃないと、メガクロスを解くのは難しいかも……(笑)。

安福 ジャパンナレッジを利用したとしても、メガクロスを一人で解くなら、数年はかかると覚悟してください(笑)。友人や家族同士で、わいわいやりながら解いてもらうのが理想ですね。

(終わり)

いざ、数独に挑戦!

前回の答えです。みなさん、いかがでしたか?

2016-09-05

INFORMATION

メガクロス

「メガクロス 巻物版」(ニコリ)

定価:250,000円(税抜)

(書籍版は35,000円(税抜)、2016年10月発売予定)

『パズル通信ニコリ』の35周年記念に、3年の歳月を費やして作られた世界最大(2016年6月現在、ニコリ調べ)のクロスワードパズル。タテ129マス、ヨコ1899マスの横長の盤面を印刷、サイズは横13m、縦90㎝の巻物状。政治・経済、スポーツ、芸能、古語、サブカルチャーまで収録語は6万6666語! 屋久杉をデザインした箱に入れられ、タテ用のヒント、ヨコ用のヒント、答えの3冊の本がついてくる。


入手方法などくわしくは、ニコリウェブサイト内のメガクロス特設ページ(https://www.nikoli.co.jp/megacross/)をご覧ください。

飯野勝則さん 佛教大学図書館専門員
日本のウェブスケールディスカバリーのパイオニア

丸島和洋さん 歴史学者
大河ドラマ『真田丸』の若き時代考証者

ニコリ パズル制作会社
とことん遊び尽くす、学び尽くすパズルカンパニー

米澤 誠さん 東北大学附属図書館員
学習支援のトップランナー

石川芳立さん 新潮社 校閲部
“校閲は著者のためにある”を体現する校閲者

東雅夫さん アンソロジスト
幻想文学の傑作を届ける水先案内人

ショウワノート 文具メーカー
学習帳業界のトップランナー

大橋崇行さん 東海学園大学准教授、作家
司書の世界(お仕事)を小説で伝える

喜多あおいさん リサーチャー
テレビを支える情報収集のプロフェッショナル

編集工学研究所 企画開発・研究・教育事業
編集力で世の中を変えていく

サンキュータツオさん 漫才師、日本語学者
国語辞典を愛してやまない学者芸人