VOICE

編集工学研究所(1)企画開発・研究・教育事業
編集力で世の中を変えていく

現代社会は、情報が溢れかえっている時代です。だからこそ、「情報を編集する力こそ必要である」と看破したのは、編集工学研究所所長の松岡正剛さんです。松岡さんは1987年に編集工学研究所を設立。情報編集力の方法を体系化し、同所が運営するイシス編集学校でそのノウハウを世に広め続けています。学校の生徒さんたちにジャパンナレッジをおすすめいただいていると聞き、編集工学研究所・専務取締役の安藤昭子さんとイシス編集学校・学林局長の佐々木千佳さんに、お話をうかがってきました。

まずは「守」で発想を鍛える

株式会社 編集工学研究所

人類のあらゆる営みに潜む「編集」の仕組みを明らかにし、新たな価値を生み出す技術「編集工学」。その方法論を提唱した編集者の松岡正剛氏が、情報化社会に突入していく1987年に創設。「ルーツ・エディティング」「コンセプト・エディティング」「エデュケーション」「クリエーション」などを事業領域とし、内閣府などの官公庁、近畿大学や理化学研究所などの学術機関、リクルートHDやLINE、資生堂などの民間企業といったさまざまな組織と、企画・開発プロジェクトを手掛ける。社員数は15名。運営しているイシス編集学校の卒業生は3万人を超える。

取材・文/角山祥道 写真/五十嵐美弥

――そもそも「編集工学」とは何でしょうか。

安藤 所長の松岡は、「21世紀は“方法の世紀”である」という言い方をしています。もう少し具体的に言うと、今求められているのは、「情報化」する力ではなく「情報化されたものを編集化」する力だということです。情報を集め、分類する。新たな意味を見いだしてみたり、つなげたりしてみる。そこから飛躍させ、仮説を導いていきます。こうした情報編集の仕組みを明らかにし、社会に適用できるメソッドとして体系化したのが編集工学なんです。

佐々木 その編集工学をスキルとしてインターネット上で学べるのが、「イシス編集学校」です。最初は、自社スタッフ向けのトレーニングだったのですが、技術を世に広めるべく、2000年にネット上に学校を立ち上げました。4月からまた、新たに開講しますが、学衆――生徒さんのことを私たちはこう呼んでいるのですが、彼らは「守」(基本コース)、「破」(応用コース)、「離」(世界読書奥義伝)……と順番に学んでいきます。

安藤 実は私も、イシス編集学校の卒業生です。茶道や武道にも「型」がありますが、思考や編集力にも型がある、というのが松岡の考え方です。イシス編集学校では、「思考の型」を38に分類し、それを基本コースの「守」で、17週間かけて学んでいきます。

佐々木 ネット上に用意された教室に所属すると、各教室付きの「師範代」と呼ばれる指導陣から毎週、「お題」が出されます。お題への「回答」に対して、師範代からより発想を広げたり見方を深めたりするような「指南」が返ってきます。この学習プロセスを「編集稽古」と呼んでいますが、これによって、学衆さんは編集の型を身に着けていきます。「守」「破」「花伝所」(編集コーチ養成コース)を終えると、師範代になることができ、最短1年半のスピードで、教わる立場から教える立場に回ります。

教室の最年少は小学5年生

――具体的にどんな「お題」が出されるのでしょうか。

安藤 たとえば、「コップを言い換えなさい」とか。

佐々木 水飲み、カップ、グラス、マグ、ゴブレット……、という「類語辞典」に載っているような単純な言葉の言い換えもできますよね。コップが属する「器」「日用品」へと視点をずらしても面白いですし、物体、無機物……と要素で言い換えるのもありです。さらにそこから情報の階層を変えて、工業製品という言い方もできますし、子どもの遊び道具や楽器、ゴミ捨て場にあるなら「燃えないゴミ」という飛躍もできる。こうやって、視点を多層化し、情報の塊(クラスター)ごと動いていくんです。すると、新たな発見や、気づかなかったつながりが見えてきます。

安藤 こうした視点の拡張を起こすには、「確実な情報を多面的に収集する」というプロセスも重要です。ジャパンナレッジのような情報源は、「編集稽古」においても強力なツールになりますね。実際、「守」と「破」の先にある「離」というコースでは「ジャパンナレッジは必須です」とアナウンスしています。ジャパンナレッジで第一次情報を得て、それを元にどんどん発想を広げたり深めたりしていけばいい。

佐々木 これまで3万人が学んできました。最年少は小学5年生。ビジネスマンから学生、お医者さんや技術者や主婦、と年齢も立場もさまざまです。それぞれの編集力を引き出すお稽古ですので、前提となる知識量や体験量は問わないんですね。

安藤 実際に体験いただくと、きっと新しい見方や豊かな発想が自分の中にすでにあるということに気づいて、はっとすると思いますよ。

(つづく)

2019-03-25

INFORMATION

イシス編集学校「守」)

イシス編集学校「守」2019年秋学期受付中!

イシス編集学校の基本コース「守」では2019年秋学期生をただいま募集中! 情報の見方、情報の関係づけ、情報の構造化、情報の表現の4つの用法に基づく38の「情報編集」の型がインターネットで学べる。届いた「お題」に「回答」すれば、「編集工学」を身に着けた師範代から「指南」がもらえるという形式。

【応募締切】2019年10月14日(月)
【受講期間】2019年10月14日(月)~2020年2月16日(日)
【定員】200名(定員になり次第締め切り)
【受講料】108,000円(税込)※学生および再受講の場合は割引あり。23歳以下の学生は限定割引あり。

飯野勝則さん 佛教大学図書館専門員
日本のウェブスケールディスカバリーのパイオニア

丸島和洋さん 歴史学者
大河ドラマ『真田丸』の若き時代考証者

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米澤 誠さん 東北大学附属図書館員
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石川芳立さん 新潮社 校閲部
“校閲は著者のためにある”を体現する校閲者

東雅夫さん アンソロジスト
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大橋崇行さん 東海学園大学准教授、作家
司書の世界(お仕事)を小説で伝える

喜多あおいさん リサーチャー
テレビを支える情報収集のプロフェッショナル

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