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ショウワノート株式会社 文具メーカー
学習帳業界のトップランナー

長年にわたり、学習帳業界のトップシェアを誇る、ショウワノート株式会社。じつはジャポニカ学習帳をつくる際、ジャパンナレッジを大いに活用していただいているそうです。
今回はジャポニカ学習帳の変遷について、開発部の小原崇さん、山端雪代さんにお話をうかがいました。

学習帳メーカーでは最後発だった

ショウワノート株式会社

学習帳やキャラクター・ファンシー文具の総合メーカー。1947(昭和22)年富山県高岡市で昭和紙工株式会社として創立。70年にジャポニカ学習帳を発売し、小学生向け学習帳のトップブランドとなる。商品開発も盛んに行なわれ、ジャポニカ学習帳では将棋などをテーマにした「日本の伝統文化シリーズ」、スヌーピー、ムーミンなどの世界の名作を表紙にした「愛され続ける名作シリーズ」などもある。またドラえもん、ポケットモンスターのキャラクター学習帳も人気。従業員数172名。

取材・文/ジャパンナレッジ編集部

──ジャポニカ学習帳、私も小学生時代、お世話になりました。現在、種類はどれくらいあるんですか?

山端 50種類ほどです。発売当初は20種類程度だったんですが、徐々に数が増えていきました。多いときは70種類もあったんですよ。

──はじめは昭和紙工株式会社という社名で、戦後まもなく、1947年に富山県で創立されたんですね。学習帳をつくられたのは何年くらいからですか?

山端 50年代半ばあたりから学習帳をつくり始めたと聞いています。当初販売していたのはエリート学習帳。表紙は写真ではなく昔の雑誌の表紙に使われたようなイラストでした。当時はそれが主流だったそうです。

小原 学習帳メーカーとして、弊社は最後発でした。競合20社がひしめく中、当初発売したエリート学習帳は全く売れませんでした。

山端 68年に開発チームを発足させ、子どもたちにどんなノートをつくればいいのか考えていたそうです。その当時は百科事典が家に置いてあることが一種のステータスで、以前からお付き合いがあった小学館から刊行されていた百科事典『大日本百科事典ジャポニカ』とのコラボレーションにより、「ジャポニカ学習帳」が誕生しました。

表紙はイラストではなく写真で図鑑っぽくして、ロゴは金箔押し。付録のページに百科事典の内容を流用させていただきました。

小原 当時はA5判。他社の多くは1冊30円だったんですが、ジャポニカ学習帳は50円と価格も高く設定し、高級路線を打ち出しました。

1970年代のジャポニカ学習帳。表紙のロゴは金箔箔押し。ショウちゃんという会社のイメージキャラクターのマークがついていた。

昼メロCMからつかんだトップシェア

──ジャポニカ学習帳がついに発売。反響はいかがでしたか?

山端 最初の一年は全然売れなかったようですが、翌71年がターニングポイントの年となりました。学習帳としてはめずらしくテレビCMを打ったんです。それも子どもが見るアニメの時間帯ではなくて、奥様たちが見るお昼のドラマの時間帯に。

小原 会社は残りの財産をはたいて、これでダメだったら富山に帰ろうという覚悟でCMをつくったそうです。しかしお金がなくゴールデンアワーのCM枠が取れなかった。仕方なく流したのが昼メロの時間帯。それが逆に大成功につながりました。

山端 文房具店の奥様がお昼を食べ終わって一息ついてテレビを見ていたら、ジャポニカ学習帳のCMが流れた。「この学習帳、うちでも置いてみたいわ」って思われる方が続々と出てきたそうです。以後、ジャポニカ学習帳の注文がコンスタントに入ってくるようになったそうです。

小原 ちょうどカラーテレビが普及してきた時代で、写真を取り入れた表紙にもインパクトがあったんでしょうね。

山端 百科事典を全巻そろえるのは難しいけれど、ノートくらいは少々高くても、と購入を考える親御さんが増えたのか、様々な要素の歯車がうまく組み合わさって、ヒットにつながったんです。

小原 その後、学習帳でシェア1位を取り、いまだにトップシェアをいただいております。

70年発売当初のジャポニカ学習帳の中面の読み物コーナーは『大日本百科事典ジャポニカ』の内容を掲載。それぞれの見出しの下に「(ジャポニカより)」と注記がある。

──78年には現在まで続く「世界特写シリーズ」がスタートします。

山端 ジャポニカ学習帳が人気になると、他社からも表紙に写真を使った類似品が多く出るようになりました。そこでさらに他社との差別化を図るためスタートさせたのが「世界特写シリーズ」。環境破壊が問題になり始めていたこともあり、学習帳を通じて「自然を大切にしよう」というメッセージを子どもたちに伝えようというコンセプトのもと、海外の珍しい動植物の写真を、ジャポニカ学習帳のためだけに撮り下ろすことになりました。

そして現在まで、表紙の写真を手掛けているのは、昆虫植物写真家の山口進さん。熱帯アジア編、ニューギニア編、ヒマラヤ編など、当初は1年ごとに違うシリーズを発売していたときもありましたが、現在は1つのシリーズを4~6年かけて販売するというスタイルになりました。

小原 78年以来、表紙を飾った山口さんの写真は約1200枚。山口さんは1年の多くを取材のため海外で過ごされて、いまでは地球を200周以上も回られている計算になるそうです。

コーディネーターさんやガイドさん、学者さんなど、世界中に山口さんのネットワークが張り巡らされています。この花はいま、あそこらへんに咲いているだろうとか、あと1か月であの花が咲きそうだよと連絡を受けると、すぐに駆けつけられるようにされているそうです。

(次回につづく)

2018-07-23

INFORMATION

ジャポニカ学習帳

「ジャポニカ学習帳」(ショウワノート株式会社)

定価:180円(本体価格)

(A5判は150円(本体価格)、A6判は120円(本体価格))

1970年の発売以来、学習帳業界をけん引する、ジャポニカ学習帳。累計販売数13億冊以上になるという。現在販売されているのは世界特写シリーズの【アフリカ編】。表紙は山口進氏による撮り下ろしの写真、裏表紙の「学習図鑑」や中面の「学習百科」といった読み物ページも充実。また鉛筆で書ける名前欄、日本色彩研究所の協力により生まれた目の疲れにくい罫の色を採用するなど、こだわり抜いたつくりとなっている。

飯野勝則さん 佛教大学図書館専門員
日本のウェブスケールディスカバリーのパイオニア

丸島和洋さん 歴史学者
大河ドラマ『真田丸』の若き時代考証者

ニコリ パズル制作会社
とことん遊び尽くす、学び尽くすパズルカンパニー

米澤 誠さん 東北大学附属図書館員
学習支援のトップランナー

石川芳立さん 新潮社 校閲部
“校閲は著者のためにある”を体現する校閲者

東雅夫さん アンソロジスト
幻想文学の傑作を届ける水先案内人

ショウワノート 文具メーカー
学習帳業界のトップランナー

大橋崇行さん 東海学園大学准教授、作家
司書の世界(お仕事)を小説で伝える

喜多あおいさん リサーチャー
テレビを支える情報収集のプロフェッショナル