うやむや【有耶無耶】:《有るか無いかの意から》物事がどうなのかはっきりしないこと。また、そのさま。(『デジタル大辞泉』より)
歌名所(うたなどころ)・歌枕は和歌にしばしば詠み込まれる由緒ある地名。しかし多くの人に詠みつがれるうちに、和歌という文学空間に位置付けられた歌名所・歌枕は、現実の場所を表す地名と乖離してゆきました。また、歌名所・歌枕について記す歌学書が、その所在地を国名のみで規定することが多かったため、同じ国内の複数の地で、同一の歌名所・歌枕についての伝承が生まれました。出羽国の「有耶無耶関」も、そうした歌名所の一つ。一般に「うやむやのせき」と読みますが、「むやむやのせき」「もやもやのせき」などともよび、その名のとおり所在地もあやふやで、有耶無耶関にかかわる伝説が、出羽国内の「関」に関連する地名を有する多くの地に残されています。「日本歴史地名大系」では複数の項目が立項されています。宮城県と秋田県のそれぞれの項目を見てみましょう。