日本歴史地名大系ジャーナル 知識の泉へ
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第31回 難読地名~鉱物編(1)

2009年09月18日

久しぶりに難読地名の復活です。今シリーズは〈鉱物編〉と銘打ち、土・石・岩・水・金・銀・銅など、鉱物系の漢字を使った地名を取り上げます。これら鉱物系の漢字には、たとえば下表のような音訓があります。

鉱物系漢字字訓字音
つち・くに・ところキン・コン
いしセキ・シャク
いわガン
みずスイ
かね・こがね・かなものキン・コン
しろがねギン
あかがねドウ
JK版「字通」より

ところで、これらの文字を含む地名では、鉱物系漢字の部分を音訓表どおりに読む場合が意外に多いのです。そこで、今シリーズでは隣接する文字を含め、組み合わせで難読となる地名を取り上げました。第1回は「土」の字を含む地名です。

(問題文をクリックすると答えがご覧いただけます)

第1問
大分県佐伯さいき本匠ほんじょう山部やまぶにある「土紙屋」はなんと読みますか?
〈土紙屋〉地区は、佐伯市中心市街の西方、大分県の県南地方最大の河川である番匠ばんしょう川の本流筋にあたる因尾いんび川の上流山間部にあります。
ヒント! 土の字は普通に「つち」と読みます。また、江戸時代には「土河屋村」と称していました。

第2問
富山県富山市八尾町やつおまちにある「土玉生」はなんと読みますか?
〈八尾町土玉生〉は「おわら風の盆」で知られる富山市八尾町の中心部から南西方に離れた、神通じんつう川水系室牧むろまき川上流の大長谷おおながたに川の流域に位置します。
ヒント! 土の字は「ど」と読みます。「玉生」を何と読むかが問題。栃木県塩谷しおや町の玉生は「たまにゅう」といいますが、八尾町の土玉生は「どたまにゅう」とはいいません。

第3問
宮城県角田かくだ小坂おさか地内にある「土浮貝塚」はなんと読みますか?
〈土浮貝塚〉は角田市の北端、阿武隈あぶくま川左岸の標高約40メートルの小丘陵上に位置する貝塚です。
ヒント! 「土浮貝塚」の「土」の字は2問と同じく「ど」と読みます。また、千葉県佐倉さくら市には「土浮」と記して「つちうき」と読む地名がありますが、角田市の「土浮貝塚」の読みは「どうき」でもありません。

第4問
静岡県焼津やいづ市の「小土」はなんと読みますか?
〈小土〉地区は焼津市街の西方に位置し、西端部を東名高速道路、東端部を東海道新幹線が走り抜けています。
ヒント! 「小」は「こ」と読みます。「土」をなんと発音するかが問題です。でも、人名などでは、こういう読み方は珍しくありません。

第5問
兵庫県豊岡とよおか市の「土渕」はなんと読みますか?
〈土渕〉地区は、豊岡市域を貫流する大河、円山まるやま川の東岸に位置します。
ヒント! 土渕(土淵)と記して「つちぶち」と読む地名は全国に数多くみられます。豊岡市の「土渕」の「土」は第4問と同じく「ひじ」と読みます。今度は「淵」の読み方が問題となります。

第6問
奈良県大和高田やまとたかだ市の「土庫」はなんと読みますか?
〈土庫〉地区は大和高田市の北東部、葛城かつらぎ川の西岸に位置します。
ヒント! 「寝殿造りの屋内に設けられた、周囲を厚く壁土で塗りこめ、明り取りをつけ、妻戸を設けてそこから出入りするようにした室。納戸(なんど)の類」(JK版「日本国語大辞典」)を、一般に塗籠ぬりごめといい、これを「土庫」「土蔵」と記す場合もあります。ただし、大和高田市の「土庫」の読みは、「ヌリゴメ」ではありません。
大和高田市土庫地区

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