「古典文学」カテゴリの記事一覧
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海道記(国史大辞典・日本大百科全書)
鎌倉時代の京都・鎌倉間の紀行。一冊。『鴨長明海道記』と題した本もあり、源光行・如願法師を著者とする説もあるけれど、いずれも年齢的に合わないので誤り。著者は不明であるが本書の序の部分に、白河のわたり中山の麓に閑居幽棲する侘士で齢は五旬、遁世して頭陀を事としている者とある
閑居友(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
随想的性格の強い中世の仏教説話集。二巻。古く慈円の著といわれてきたが、書中に著者が入宋したと述べているのを手がかりとして、契沖は慶政が著者であろうと推測した。決定的資料を欠くが内部徴証や各種情況証拠からみて、慶政著作説は動かないと思われる。成立は跋文相当箇所に
承久記(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
承久の乱に関する軍記物語。一名、『承久兵乱記』。異本が多く、同名異書もある。すべて作者・成立年代未詳。古くは、『公定公記』応安七年(一三七四)四月二十一日条に「承久物語三帖」、『蔗軒日録』文明十七年(一四八五)二月七日条に
愚管抄(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
鎌倉時代初期に成った日本の通史。慈円(慈鎮)作。七巻。『本朝書籍目録』に六巻とあるのはあるいは第一・二巻を合わせた表現か。また『愚管抄』第二巻記述中に、山門のことを記した「一帖」があるとみえるのは、別に現存する、延暦寺勧学講の記録断簡にあたると思われる
神皇正統記(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
南北朝時代に書かれた歴史書。北畠親房著。片仮名まじりの文で書かれ、当初の巻数は未詳であるが、流布本の多くは六巻。親房は、暦応元年(延元三、一三三八)九月、南朝の頽勢を挽回するために、義良親王・次子顕信とともに海路伊勢から東国に
玉葉和歌集(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
第14番目の勅撰和歌集。20巻。京極為兼撰。第92代伏見天皇は為兼の革新的歌風を好み、在位中の1293年(永仁1)為兼、二条為世、飛鳥井雅有、九条隆博の4名に勅撰集撰進を命じたが、98年為兼佐渡配流、天皇退位、続いて隆博、雅有も没して事業は中絶した。1308年(延慶1)花園天皇が
とはずがたり(全文全訳古語辞典・日本歴史地名大系・日本古典文学全集)
鎌倉後期の日記。後深草上皇に愛された二条(=源雅忠(マサタダ)ノ娘)の著。十四歳で上皇の寵愛を受けて以来の恋の遍歴と、三十二歳で出家した後、西行(さいぎょう)の跡を慕って諸国を旅するさまを描く。深い自照性があり、作者の魂の歩みが浮き彫りにされている。
十六夜日記(国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典・日本古典文学全集)
阿仏尼の日記紀行文学。伝本により『いさよひの記』『阿仏の道の記』『阿仏房紀行』などとも題する。藤原為家がはじめ長男為氏に譲った播磨の細川荘を、のちに悔返して為相に譲ったが、為家の没後為氏が手放さなかったため、為相の母阿仏尼が
弁内侍日記(国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典・日本古典文学全集)
鎌倉時代の女房日記。弁内侍著。二巻。成立年は未詳であるが、おそらく正元元年(一二五九)十一月二十六日の後深草天皇の譲位後さほど隔たらないころにまとめられたか。現存本は寛元四年(一二四六)正月二十九日後嵯峨天皇の譲りを受けて
万葉集註釈(国史大辞典・日本国語大辞典)
鎌倉時代の注釈書。仙覚著。十巻。文永六年(一二六九)四月二日の成立。『仙覚抄』『万葉集抄』とも呼ばれる。はじめに『万葉集』の成立事情、『万葉集』の名義、撰者などの考証があり、次に巻一以下順番に難解歌をあげて注を加えている。とりあげた歌を歌体別にみると短歌六百九十首
釈日本紀(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
鎌倉時代中期に著わされた『日本書紀』の注釈書。卜部兼方(懐賢)著。二十八巻。略して『釈紀』ともいう。成立年は未詳であるが、兼方の父兼文が文永十一年(一二七四)―建治元年(一二七五)に前関白一条実経の『日本書紀』神代巻に関する質問に答えたことが文中にみえ、正安三年
古今著聞集(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
中世の説話集。橘成季著。二十巻。建長六年(一二五四)成立。巻頭に漢文の序、巻末に和文の跋および成立年時と自署がある。本文は、神祇・釈教・政道忠臣・公事・和歌・管絃歌舞・博奕・偸盗・恠異・変化・魚虫禽獣ほか、所収説話の話柄によって三十篇に分類
十訓抄(国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典・日本古典文学全集)
鎌倉時代の説話集。古くは「じっくんしょう」か。三巻十篇。いわゆる妙覚寺本の奥書に、「或人云、六波羅二臈左衛門入道作云々、長時時茂等奉公」とあり、著者は六波羅庁の北条長時・時茂に仕えた人物らしく、奥書と序によれば出家後の晩年、東山の庵で念仏のひまに本書を著わしたという
増鏡(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
歴史物語。作者未詳。十七巻。十四世紀後半の成立。『益鏡』『真寸鏡』とも書き、『源起記』と題した写本もある。治承四年(一一八〇)後鳥羽天皇の誕生から筆を起し、元弘三年(一三三三)後醍醐天皇が配所の隠岐から帰京するまでの歴史を、貴族社会を中心にして仮名書き雅文体で
河海抄(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
『源氏物語』の注釈書。四辻善成著。貞治年間(1362~1368)ころに、室町幕府2代将軍足利義詮の命によって成った。前代までの諸注釈を批判的に統合しつつ、豊富な引用書を駆使した考証により成った本書は、『源氏物語』研究初期の集大成的注釈書といえる。『源氏物語』古注釈史において
曽我物語(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
曾我十郎祐成(幼名一万)・五郎時致(幼名箱王)の兄弟が、十八年間の苦難に耐え、建久四年(一一九三)五月、富士野の狩場に父祐通(一説に祐重・祐泰)のかたき工藤祐経を討つまでを語る、軍記物語風の伝記物語。仇討ちは果たしながら、横さまの死をとげねばならなかった兄弟の霊魂が
菟玖波集(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
南北朝時代の准勅撰の連歌の撰集。連歌師救済の協力のもとに二条良基が編集。二十巻。延文元年(一三五六)の冬から翌年の春の間に完成。延文二年閏七月十一日に勅撰に准ぜられているが、これは佐々木導誉の働きによる。冒頭に漢文序と仮名序を置き、以下、四季(一―六)
神道集(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
説話集。「安居院作」と記してあるが、具体的な編者は不明。14世紀後半(文和・延文年間)の成立か。10巻50条。天台宗および伊勢神道色の濃い本地垂迹の教義と、有名諸神社の本地仏を記してある。とくに赤城・伊香保・児持山大明神など上野国(群馬県)の利根川西側の神社を中心にして
梅松論(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
歴史物語、軍記物語。二巻二冊。作者未詳。貞和五年(正平四、一三四九)成立が通説(菅政友)であるが、一方、上限を正平七年(一三五二)とし下限を嘉慶年間(一三八七―八九)とする説もある。後者の説は、『梅松論』を典拠としている『源威集』の推定成立年代を念頭に置き
新撰菟玖波集(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
准勅撰連歌集。宗祇・兼載ら編。和文序一巻と二十巻。集句は永享前後から明応三年(一四九四)末、四季六巻・賀(含哀傷)・恋三巻・羈旅二巻・雑五巻(含聯句)・神祇一巻(含釈教)・発句二巻。他に作者部類一巻。総句数二千五十三句(うち発句
水無瀬三吟百韻(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
長享二年(一四八八)正月二十二日、後鳥羽院の二百五十年の忌日に水無瀬宮法楽として同御影堂に奉納した何人連歌。一冊。正しくは「水無瀬三吟何人百韻」という。何人が賦物で、発句の一字「山」と熟して山人と賦す。発句「雪ながら山もと霞む夕哉
応仁記(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
応仁・文明の乱を題材とした室町時代の戦記文学。著者は明らかでないが、成立の時期は応仁・文明の乱の直後、それも文明五年(一四七三)からさほど時間を経ないころの作と考えられる。内容は三巻からなっているが、各巻とも何々事という見出しを付したいくつかの話にまとめられ
ささめごと(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
室町時代の連歌論。1冊または2冊。心敬著。1463年(寛正4)、心敬が郷里の紀伊国田井荘(現在和歌山市の一部)に下ったとき、土地の人々の求めに応じて書き与えたものを原型とし、のち何度か増補・改編されている。問答体で構成され、連歌の学び方、作風論、付合論などを中心とするが
正徹物語(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
歌論書。二巻。正徹著。二巻のうち上巻を「徹書記物語」、下巻を「清巌茶話」と称するものもある。下巻は智蘊の聞書と見る説もあるが未詳。成立年時は文安五年(一四四八)とする説と宝徳二年(一四五〇)とする説がある。上・下別々に成立したものか否かもまだはっきりわからない
義経記(国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典・日本古典文学全集・東洋文庫)
著者未詳。八巻。『判官物語』『義経双紙』『義経物語』などとも呼ばれ、これらの名称が物語るように、群雄の行動を軸に時代の変革を描く叙事詩としての軍記物語というよりは、源義経個人の数奇な生涯を描いた伝奇物語というべきもので、琵琶法師がその語り物として語った。
東歌(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
東国地方の歌の意で、『万葉集』巻14と『古今集』巻20の、「東歌」という標題のもとに収められた和歌の総称。万葉集東歌、古今集東歌と、単独ででもいう。[遠藤 宏]万葉集東歌 全部で230首(異伝歌のうち一首全体を記すものを加えると238首)あり、遠江国、信濃国以東の駿河
甲子夜話(東洋文庫・日本大百科全書・世界大百科事典)
東洋文庫306 上は将軍大名の逸話から,下は狐狸妖怪の奇聞まで,ありとあらゆる話柄を記した江戸時代随筆集の白眉。表題は,文政4年(1821),静山62歳の11月甲子の夜に起筆されたことにちなむ。第1巻は,巻一から巻十九まで
唐代伝奇集(東洋文庫)
東洋文庫2 前野直彬編訳 3~6世紀の六朝時代に伝えられたインド的空想が中国で見事に花開き,妖しい美しさに読者をひき入れるのが唐代の小説「伝奇」である。広い資料のなかから選びぬかれた珠玉の作品111編のうち,第1巻は,比較的長い物語34話
捜神記(東洋文庫・日本大百科全書・集英社世界文学大事典)
東洋文庫10 干宝 竹田晃訳 作者は4世紀半ば,東晋の歴史家で,本書は民間伝説,名士の逸話などを古い書物から抄録したもの。志怪小説とよばれる怪異の記録中もっとも叙述にすぐれ,中国小説の祖とされる。本邦初の全訳。目次 表紙(扉)捜神記原序 巻一
アラビアン・ナイト(東洋文庫)
東洋文庫71 前嶋信次訳 中世ペルシア語からアラビア語に訳された説話をもとに,各地の説話を糾合して16世紀のカイロで編まれたアラビア語文学の傑作。アラビア語原典からの完訳は,重訳によって生じた従来の歪んだイスラム観を正す