JapanKnowledgePresents ニッポン書物遺産

ジャパンナレッジに収録された、数々の名事典、辞書、叢書……。それぞれにいまに息づく歴史があり、さまざまな物語がある。世界に誇るあの本を、もっと近くに感じてほしいから、作り手たちのことばをおくります。

約20万項目のお国言葉の集大成! 日本最大級の方言辞典

日本方言大辞典

近世から現代の1000点を超える方言資料の中から語彙を採録し、北海道から沖縄に至る全国の方言を集大成した『日本方言大辞典』。1989年に上梓されたこの辞書は、総項目数は約20万という日本最大級の方言辞典である。そして2016年6月21日、ジャパンナレッジでの公開が始まった。
この辞典に少なからず関わりがあり、派生した書物『お国ことばを知る 方言の地図帳』や『標準語引き 日本方言辞典』の編集に携わり、当サイトの「日本語、どうでしょう?」でもお馴染みの小学館出版局プロデューサー神永曉氏に、『日本方言大辞典』の制作秘話や方言の面白さについてお話を伺った。3回に分けてお送りする。

2016年07月07日(木)更新
構成・文/角山祥道 写真/五十嵐美弥




書物データ

方言は、日本人一人ひとりの心の故郷であり、日本語の源泉である(「はじめに」より)──北海道から沖縄にいたる全国の方言約20万項目を収めた方言語彙の集大成、『日本方言大辞典』。近世から現代まで1000点を超える方言資料の中から語彙を採録し、編纂された。
『日本方言大辞典』の基礎となったものは、『日本国語大辞典』の方言項目を執筆した千葉大学元教授で国語学者の大岩正仲氏による膨大な数の方言カード。大岩氏の遺志を受け継いだ徳川宗賢、佐藤亮一両氏が編集委員となり、十余年をかけてつくられた辞典は、1989年に小学館より刊行された。
辞典では平易な解説に加え、使用地域名や用例、方言資料番号などが掲載されている。文献中に現れた例は「文献例」として紹介されており、その言葉の歴史的背景がわかる。標準語の音節が各地の方言とどのように対応しているかが一覧できる「音韻総覧」や、方言の全国的分布が一目でわかる分布地図178点も収録。上下2巻と標準語引き索引を載せた別巻の計3巻で構成された、日本最大級の方言辞典である。


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