ジャパンナレッジに収録された、数々の名事典、辞書、叢書……。それぞれにいまに息づく歴史があり、さまざまな物語がある。世界に誇るあの本を、もっと近くに感じてほしいから、作り手たちのことばをおくります。
日本史を学ぶ人にとって、この辞典を知らない、という人はいないだろう。多くの歴史愛好家たちを唸らせてきた、『国史大辞典』全15巻(全17冊)だ。1965年に編集がスタートし、32年かけて完結した日本史の大辞典。出版界でも希有なこの大事業は、吉川弘文館の悲願ともいうべきものであった。
この辞典の編集スタート年に、『国史大辞典』の専属として同社に入社し、以来、『国史』とともに歩んできた、現在六代目社長をつとめる前田求恭さんに、『国史大辞典』についてお話をうかがった。
大事業を支えたものとは何か? 関わった人たちの思いとはどういったものだったか? 8回に分けてお送りする。
日本最大の歴史百科として知られる、吉川弘文館の『国史大辞典』。総項目数5万4000余、全15巻(17冊)からなり、1巻あたりの平均ページ数は1100ページ。日本史全領域をカバーした内容で、考古・民俗・宗教・美術・国語学・国文学・地理など隣接分野からも必要項目をことごとく網羅。量・質ともに、ほかの歴史辞典の追随を許さないものとなっている。
安政4年創業の同社の、100周年記念として編纂がスタート。制作に32年、各界から厳選された執筆陣は3500名と、出版界においても最大級の事業となった。
一般用語から専門用語までがわかりやすく解説され、関連の写真や図版、表なども多数配されている。別刷り図版にもたっぷりページを割くなど、「読む、見る、楽しむ」の三拍子そろった、日本史を知るための、まさに"バイブル"といえよう。
ジャパンナレッジは約1900冊以上(総額850万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
(2024年5月時点)