ジャパンナレッジに収録された、数々の名事典、辞書、叢書……。それぞれにいまに息づく歴史があり、さまざまな物語がある。世界に誇るあの本を、もっと近くに感じてほしいから、作り手たちのことばをおくります。
1977(昭和52)年から78年に刊行された、明治から現代までの日本文学の全貌をとらえた文学事典『日本近代文学大事典』。その「増補改訂デジタル版」が2022年5月ついに誕生し、ジャパンナレッジで公開された。いったいどういう経緯でデジタル化されたのか。そもそもこの事典はなぜ生まれたのか。
「増補改訂デジタル版」編集委員会委員長の中島国彦日本近代文学館理事長とデジタル版編集委員の紅野謙介同館理事に、「デジタル版」の話題を皮切りに、日本近代文学館の成り立ち、そして『日本近代文学大事典』刊行の目的などについて3回にわたりお話を伺う。
» 続きを読む
『日本近代文学大事典』(全6巻)は日本近代文学館創立15周年、講談社創業70周年記念事業として1977年11月に刊行(6巻の索引巻のみ翌78年刊行)。「文壇と学界が総力を結集して完成したもっとも権威ある文学事典」と謳われ、遠藤周作が「堀辰雄」、瀬戸内晴美(寂聴)が「岡本かの子」を担当するなど、研究者だけでなく多くの作家も執筆している。
6巻本の構成は第1~3巻は作家、評論家、詩人、俳人、歌人だけでなく、文学と関連深い各界に活躍した人を含めた「人名」(5,170項目)、第4巻は重要な文学上の事象、流派、団体、用語などの「一般事項」(660項目)、5巻は文芸雑誌を中心に総合雑誌や思想、美術などの諸雑誌、文芸に関係深い新聞を項目とした「新聞・雑誌」(1,600項目)、6巻は近代文学に関するさまざまな叢書・全集などの総覧も収められた「索引その他」。文学史のはざまに埋もれてしまったマイナーな作家や1号で終わった雑誌などにも光を当てている。
45年ぶりのリニューアルとなった「増補改訂デジタル版」は1984年に刊行された机上版(元版の第1〜3巻の人名事典を独立させて増補した1巻本)に元版の4、5巻を含めて電子化されたもの。不備の修正や追補に加え、新規・追加あわせて289項目が補充された。今後は1年ごとに更新を行なう。
ジャパンナレッジは約1900冊以上(総額850万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
(2024年5月時点)