ジャパンナレッジに収録された、数々の名事典、辞書、叢書……。それぞれにいまに息づく歴史があり、さまざまな物語がある。世界に誇るあの本を、もっと近くに感じてほしいから、作り手たちのことばをおくります。
『ニッポニカ』の本文の末尾には、執筆者の名前が入っている。誰が書いたか、一目瞭然になっているのだ。『ニッポニカ』の執筆者は、各分野の専門家、大学教授クラス約7000名。第一線の人間に寄稿してもらうことによって成り立っている。「執筆者=専門家を恃(たの)むことで、利用者への信頼性が増す」と吉田編集長は言う。
文字で発表する以上、なくてはならないのが「校正」だ。特に、事実を旨とする事典では、校正ミスは命取りである。その校正を担ってきたひとりが、桑島さんだ。
EG資料。「人名用漢字」「誤植ペア」「英語」など細かくラベルで分類されている。
EG資料。ルビつき動詞の項。○かならず漢字ルビ、△漢字ルビも可、×原則としてヒラキ、─ルビなし、など記号でわかりやすく分類されている。
EG資料。外国地名や科学用語などニューの付く項目一覧。「ニューデリー」のところ、「ニュー」と「デリー」の間にナカグロの赤字が入っている。
吉田兼一(よしだ・けんいち)
1963年石川県生まれ。小学館出版局デジタルリファレンス編集長。86年小学館入社後、『女性セブン』に配属。その後、『CanCam』『週刊ポスト』の雑誌編集を担当。文庫編集部、国語辞典編集部を経て、現職。担当した辞事典は『例解学習国語辞典』『小学館百科大事典きっずジャポニカ新版』など。
桑島修一(くわじま・しゅういち)
1956年福島県生まれ。小学館クリエイティブ・データ編集室専任プロデューサー。『ニッポニカ』編集の進行・校正担当。81年校正・校閲会社の三友社(現、小学館クリエイティブ)に入社。『ニッポニカ』は94年刊行の補巻の作成作業より携わっている。
中村英俊(なかむら・ひでとし)
1960年福島県生まれ。『ニッポニカ』メディア(写真・図版)担当。83年の書籍版『日本大百科全書(ニッポニカ)』の始動と同時に、当時所属していた編集プロダクションで「科学技術・工学関係」の写真・図版担当として百科事典編集に携わる。一時、小学館の仕事を離れるが、98年のCD-ROM化にあたり、フリーランスとして編集チームに復帰、現在に至る。

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(2024年5月時点)