新年明けましておめでとうございます。
さて、今回は少しばかり「地名」を離れて山の標高の話です。
昨年(2018年)の暮、久方ぶりに学生時代の友人たちに会い、彼らが2018年に登った山の話となりました。彼らが登った山の一つが
彼らは山頂付近の山小屋に一泊したのですが、10畳前後の部屋に2組4人が割り当てられたそうです。
たまたま彼らと同室となった2人組の話によりますと、2人組は前年(2017年)も雲取山に登り、同じ部屋を割り当てられたのですが、その時は20名以上が同室になり、それこそ立錐の余地もない、といった混みっぷりだったそうです。
一昨年(2017年)は、その年号に掛けて、標高2017メートルの雲取山への登山客が普段に増して多かったのが原因、とのことでした。
そこで、今回は、今年(2019年)をすっ飛ばし、来年(2020年)のオリンピックイヤーに備えて、標高2020メートルの山探しをすることにしました。
国土地理院の「地理院地図(電子国土Web)」などを手掛かりとして標高2020メートル前後の山を探索すると、次の3山に絞り込まれました。
地理院地図標高 2020メートル
地理院地図標高 2020.6メートル
地理院地図標高 記載なし
はじめは緑岳について検討してみます。緑岳は大雪山系の主峰、旭岳の東南東約5.5キロにそびえています。地理院地図の基準点成果等閲覧サービスで確認すると、三等三角点を有し、基準点成果情報によると、三角点標高の詳細は2019.91メートル。Webで山行記録等を確認すると、山頂標識には(遠慮して)標高2019メートルと記されており、2020年に登る山としては不向きといえるでしょう。
次いで於呂倶羅山。奥日光のハイキングコースとして名高い「
切込湖の北東にそびえる於呂倶羅山。ヤブ漕ぎ覚悟
ただし、地理院地図(電子国土Web)でも中縮尺ベースになると2021メートル(四捨五入)の標高表記となっていて、あるいは、山頂の標高表記が「2021」に変更された可能性も否定できません。
最後に老ノ倉山です。群馬県嬬恋村と高山村の境にそびえる
県道に程近い老ノ倉山。ここもヤブ漕ぎが必須
ここまでみてきた標高2020メートルの山々のなかで、2020年に登る山として一番のお薦めは奥日光の「於呂倶羅山」ということになると思います。ただし、前述のように一般登山道は整備されていませんので、それなりの準備は必要です。
ところで、この探索を通じて気になるスポットがもう一つありました。それは「
「鬼怒沼」についてジャパンナレッジの「日本大百科全書(ニッポニカ)」は次のように記します。
栃木県日光市(にっこうし)の北西部にある高層湿原。鬼怒沼山と物見山の間の平坦(へいたん)面上にあり、周囲1.3キロメートル、面積0.12平方キロメートル。この高層湿原には大小40余りの池塘(ちとう)が点在する。標高2000メートルより高所にあって尾瀬ヶ原(おぜがはら)より高い。湿原にはホロムイソウ、ワタスゲ、モウセンゴケ、チングルマなどがみられる。東武鉄道鬼怒川温泉駅からバスで女夫淵温泉(めおとぶちおんせん)まで行き、ここから徒歩で約4時間。
地理院地図(電子国土Web)で見ると、標高2020メートルと2030メートルの等高線の間にいくつもの湖沼が点在しており、湖面の標高が2020メートルの湖沼が一つくらいあってもいいのではないか、などと想像をたくましくしました。しかし、来年のことを言うと何とやらといいますので、この辺りで。
鬼怒沼の湖沼群。湖面標高2020メートルの湖沼はあるのか?
なお、最後におまけとして「鬼怒沼」を紹介しましたが、この鬼怒沼や尾瀬の存在を広く世間に知らしめた武田久吉(幕末・明治の英国外交官アーネスト・サトウの息子。日本山岳会創設者の一人)の名著「尾瀬と鬼怒沼」の初出誌(「太陽」第32巻第8号)は「JKBooks」で閲覧できます。
(この稿終わり)