「みのわ」という地名は各地にみられます。ジャパンナレッジの詳細(個別)検索で「日本歴史地名大系」を選択、「みのわ」と入力して見出し検索(部分一致)をかけると57件がヒットします。もっとも、「部分一致」ですので、佐賀県唐津市の「鏡渡」(かが「みのわ」たし)や大分県中津市の「垂水渡」(たる「みのわ」たし)の「みのわ」に当たったというような場合も含まれますが・・・・・・。
「みのわ」の漢字表記は「箕輪」、「蓑輪」、「三ノ輪」、「箕和」、「箕曲」などさまざまですが、圧倒的に多いのは「箕輪」の表記です。 ジャパンナレッジ「日本国語大辞典」で「箕輪」を引くと、次のような記述があります。
中部地方以東で、
形の似ている「
また、鏡味完二・鏡味明克の『地名の語源』(1977年、角川小辞典13)によると、「ミノワ」は「曲流部や曲がった海岸・台地などの半円形の土地。(水<ミ>の輪<ワ>の意、または文字通り、箕<ミ>のように輪<ワ>になったの意か)。東北日本に分布」とあります。
「中部地方以東」(日本国語大辞典)、「東北日本」(地名の語源)と地域の特定がありますが、「みのわ」でヒットした57件の地方別内訳は、
北海道・東北8件(北海道は0件)
関東20件、中部20件、
近畿5件、中国2件、
四国0件、九州・沖縄2件、
となっており、このうち「九州・沖縄2件」は先述の唐津市の「鏡渡」と中津市の「垂水渡」ですから、実質はゼロ。関東地方、中部地方に多いことが改めて確認できました。
「日本国語大辞典」、『地名の語源』ともに、箕のような半円形の地、であることは共通していますが、「日本国語大辞典」が「丘の周囲を取り囲んだ村落」と規定しているのに対して、『地名の語源』は丘陵・台地ばかりではなく「曲流部や曲がった海岸」まで範囲を広げています。
そこで、
一方で、丘陵・台地における「みのわ」地形は幾つか確認できました。その一つは群馬県群馬郡
との記述があり、実際の地形をみても(次に掲げる地形写真を参照)、城郭が載っていた台地が半円形であることを確認できます。
ちょっと縦長ですが、台地(木立の部分)は「箕」の形状をしています
ところで、江戸時代の村落(大字)よりも規模が大きい「みのわ」地名も存在します。それは、長野県
現箕輪町・現南箕輪村及び現伊那市の西箕輪と
箕輪郷の範囲を地形写真で確認すると、だいたい下図の範囲になるのですが、
この写真では確認できないが、天竜川の小さな曲流部を「みのわ」とよんだ可能性もある
「みのわ」地名が箕のような形状をした半円形の土地に由来することは間違いないのでしょうが、箕の形状をどういう規模でとらえるかは、それぞれの「みのわ」地名でケースバイケースである・・・・・・というのが、今回の考察の結論となりました。