草木編の第4回。今回はテーマを決めず、植物に関係する漢字を使った難読地名をアトランダムに取り上げます。
(問題文をクリックすると答えがご覧いただけます)
⇒トメドウロと読みます。〈とろ〉〈どろ〉は水の滞るところ、あるいは泥土をいいますから(『地名の語源』角川小辞典13)、伊勢川の水の滞る地だったのでしょうか? 昭和43年(1968)九頭竜ダムの竣工で、米俵など九頭竜川本支流域の11集落が九頭竜湖の湖底となりました。
⇒コウヅキと読みます。かつては摂津源氏(多田源氏)発祥の地、多田庄に含まれ、鎌倉時代の史料によると「木器四人」が寄合って多田院(現川西市多田神社)の御堂上棟会に馬一匹を引進めています(JK版「日本歴史地名大系」)。ただし、なぜ「木器」と記して「コウヅキ」とよむのかは不詳です。
⇒タコチと読みます。竹渕(タカフチ)郷から変化したと考えるのが妥当でしょうか。江戸時代、竹渕村は牛蒡が特産でした(河内志)。
⇒タキョウと読みます。建穂寺は駿府浅間社(静岡浅間神社)の社僧で、江戸時代、建穂村は建穂寺領で推移しました。建穂寺は明治新政府の神仏分離政策で廃寺となり、現在は観音堂を残すのみ。しかし、この観音堂には平安後期と鎌倉期の2体の木造不動明王立像(いずれも静岡県指定文化財)ほかが安置されています(JK版「日本歴史地名大系」)。
⇒オオブ・オオブマチと読みます。江戸時代には大穂村(現在の大穂地区)の北部を唐津街道が通り、この道沿いに発達した街村が大穂町(現在の大穂町地区)です(JK版「日本歴史地名大系」)。
⇒トゲと読みます。『芸藩通志』によれば、往古は「戸毛」とも記したといいますから、古くから読みは〈トゲ〉だったのでしょう。JK版「日本歴史地名大系」の見出し検索で「桐原」と入力すると、14件がヒット。安佐北区の〈桐原〉を除く13件の読みは〈キリハラ〉または〈キリワラ〉〈キリバラ〉。いずれも訓読みですが、安佐北区の〈桐原〉だけはなぜか音読み。
静岡市葵区の建穂地区。地図に「建穂寺」とみえるのは、旧建穂寺の観音堂。