草木編の第3回。今回はクサカンムリが付く漢字を使った難読地名を取り上げます。
(問題文をクリックすると答えがご覧いただけます)
⇒オノシロと読みます。かつては紀州熊野への参詣道(熊野街道)が通り、地内に熊野九十九王子のひとつ厩戸王子の跡があります。また、古代寺院海会寺の跡地に隣接して泉南市埋蔵文化財センター・古代史博物館が設置されています。
⇒オイモと読みます。江戸時代には米がとれず、桑の栽培が盛んでした。高原川をさらに溯ると、奥飛騨温泉郷があります。
⇒アボッケチョウと読みます。崖地形をハケ(バケ)、ハッケ(バッケ)、ボケ(ホケ)、ボッケ(ホッケ)とよぶのは、広範にみられます。赤土(関東地方では関東ローム層)の崖はアカハゲ、アカバケ、アカバッケ、アカホケ、アカボケ、アカボッケなどとなります。アカボッケが詰まってアボッケになったのでしょうか。ただし、アボッケに木葉下の字を充てた理由は不明です。
次からは「葛」の字がつく地名です。
「葛」はマメ科のつる性多年草植物。字訓はクズ、カズラです。植物の「葛」を東日本ではクズ、西日本ではカズラとよぶ傾向があります。
⇒オクゾと読みます。同じ大館市内には「葛原」の地名もあります。大葛・葛原のある大館市は日本三大美味鶏の一つといわれる「比内地鶏」、この比内地鶏を用いた「きりたんぽ鍋」、秋田杉を使った杉細工の「大館曲げわっぱ」、畑のキャビア「とんぶり」など、数多くの名物があります。
⇒クンゾウレ(またはクンゾウレン)と読みます。南方には大草連(またはオオゾウレン)の地名もあります。近くの小谷温泉は、北を雨飾山、東を妙高山、西を北アルプスに囲まれた秘湯で、信玄の隠し湯の一つといわれています。
⇒カズロウと読みます。かつて〈葛生〉は、長井戸沼(近代に干拓されて水田地帯に生まれ変わった)に細長く突き出た台地であったと伝えます(JK版「日本歴史地名大系」)。
古河市の「葛生」地区。集落の東西両脇に広がる水
田は、かって長井戸沼とよばれた沼沢地であった。