久しぶりに難読地名の復活です。今シリーズは〈鉱物編〉と銘打ち、土・石・岩・水・金・銀・銅など、鉱物系の漢字を使った地名を取り上げます。これら鉱物系の漢字には、たとえば下表のような音訓があります。
鉱物系漢字 | 字訓 | 字音 |
土 | つち・くに・ところ | キン・コン |
石 | いし | セキ・シャク |
岩 | いわ | ガン |
水 | みず | スイ |
金 | かね・こがね・かなもの | キン・コン |
銀 | しろがね | ギン |
銅 | あかがね | ドウ |
JK版「字通」より
ところで、これらの文字を含む地名では、鉱物系漢字の部分を音訓表どおりに読む場合が意外に多いのです。そこで、今シリーズでは隣接する文字を含め、組み合わせで難読となる地名を取り上げました。第1回は「土」の字を含む地名です。
(問題文をクリックすると答えがご覧いただけます)
⇒ツチゴヤと読みます。江戸時代の土河屋村は「つちごうや」とよんでいたようですが、現在は土紙屋と記して「つちごや」とよびます。「土河屋村」は、江戸時代末期頃に、西に隣接する山部村に合併されました。
⇒ドダモと読みます。江戸時代には越中国婦負郡土玉生村と称していましたが、現在は「どたも」とよみます。昭和36年(1961)に竣工した室牧ダムによって、現在は無人地区となっています。
⇒ドブカイヅカと読みます。同貝塚は縄文時代前期初頭頃の貝塚。淡水産シジミを主体とする貝層で、わずかにハマグリ、アサリなどの鹹水産貝種が含まれます(JK版「日本歴史地名大系」)。
⇒コヒジと読みます。土方は耳慣れた苗字ですね。また、静岡県掛川市の上土方・下土方など、土方という地名も各地にありますが、小土と記して「こひじ」と読む地名は、そうは多くはありません。
⇒ヒジウチと読みます。ヒジフチがヒジウチに変化する=hの音が落ちるなんて、フランス語みたいですね。
⇒ドンゴと読みます。大和高田市の「土庫」は「地方豪族が外敵に備えるために集落外郭にめぐらした自衛的な塁」を土庫ということに由来。土庫地区の中央部に位置する城山とよぶ台地には、当麻氏の一族が居城としたという「塁」が築かれました(以上、JK版「日本歴史地名大系」)。
大和高田市土庫地区