日本歴史地名大系ジャーナル 知識の泉へ
日本全国のおもしろ地名、話題の地名、ニュースに取り上げられた地名などをご紹介。
地名の由来、歴史、風土に至るまで、JK版「日本歴史地名大系」を駆使して解説します。
さらに、その地名の場所をGoogleマップを使って探索してみましょう。

第4回 あなたもチャレンジ! 難読地名~鳥獣編(2)

2007年05月25日

難読地名~鳥獣編の2回目です。今回は牛の字、馬の字が入った難読地名を取り上げます。その前にちょっと寄り道。鎌倉時代の末期、延慶3年(1310)の年紀がみえる『国牛十図』に「馬は東関をもちてさきとし、牛は西国を以てもとゝす」と記されるように、古くから「東は馬、西は牛」と言い習わされてきました。こうした傾向は地名の広がりや分布にもみられるのでしょうか? JK版日本歴史地名大系の検索・分布図・グラフ機能を利用して調べてみました。

まず見出し検索+分布図でチェックすると、「牛」の見出し項目は東京都の110件が突出、ほかは偏りのない分布傾向を示しています。東京都の突出は、近世の江戸に「牛込××町」など牛込(うしごめ)の地名を冠した町が百余町あったことによるもので、このことを差し引いてみると、ほんとうに満遍なく分布しているといってよいでしょう。一方、「馬」の見出し項目は東京都52件、愛知県43件、長崎県・福岡県各39件、長野県37件がベスト5、少ない方は山梨4件、沖縄5件、宮崎県6件、香川県7件、北海道8件の順で、都道府県ごとのバラツキはありますが、東西の偏差はないようです。なお東京都52件のうち23件は大伝馬町・小伝馬町・南伝馬町など、伝馬役を負担した江戸の町名です。また「馬」の字が付く見出し項目は全国で996件ヒットしますが、このうち269件は「馬場」が付く項目でした。

牛の分布図馬の分布図牛のグラフ馬のグラフ
牛の分布図:
(見出し)
馬の分布図:
(見出し)
牛の集計表:
(見出し)
馬の集計表:
(見出し)

今度は全文検索でチェックします。「牛」は21,634件、「馬」は50,110件がヒット、分布図でみると「馬」は見出し検索の場合と同様、都道府県ごとに格差はあるものの、東西の偏差はみられません。これに対して「牛」は明らかに西日本に偏った分布を示しました。

牛の分布図馬の分布図
牛の分布図:
(全文)
馬の分布図:
(全文)

さて、いよいよ本題に入ります。まずは「牛」の付く地名初級編から。

(問題文をクリックすると答えがご覧いただけます)

次は中級編です。

「牛」の巻の最後は上級編です。

特牛湊
特牛湊

響灘に面する特牛湊。山陰本線の特牛駅も近い

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次は「馬」の付く地名初級編です。

「馬寄」はウマヨセと読んで、『日本国語大辞典』(小学館)に「農村の行事。初夏、農家から馬を集めて走らせ、評価するもの」とあります。古く馬牧などで、放牧していた馬を集めたところを馬寄場などといい、このことに由来する馬寄の地名(ウマヨセのほかにマヨセなどの読みもあります)は全国にみられます。

次は中級編です。

次は上級編です

唐津市の北西部(旧鎮西町域)、東松浦半島の北西方沖合に浮かぶ「馬渡島」は何と読みますか?
福井県の真中で、日本海に向かって北に突き出す敦賀半島。同半島の東側の敦賀市縄間(のうま)地区と、西側の美浜町竹波地区の境に位置する馬背峠は何と読みますか?

最後におまけの問題。「牛」と「馬」の両方の字が入る難読地名です。岩手県の名峰、早池峰(はやちね)山の前山にあたる薬師岳を水源とし、遠野盆地を目指して南へ流れ下る猿ヶ石川、この猿ヶ石川の流域山間に遠野市附馬牛地区があります。この「附馬牛」は何と読みますか?

附馬牛
附馬牛

名馬の産地として知られた遠野市附馬牛地区

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