日本歴史地名大系ジャーナル 知識の泉へ
日本全国のおもしろ地名、話題の地名、ニュースに取り上げられた地名などをご紹介。
地名の由来、歴史、風土に至るまで、JK版「日本歴史地名大系」を駆使して解説します。
さらに、その地名の場所をGoogleマップを使って探索してみましょう。

第22回 難読地名~草木編(2)

2008年11月22日

草木編の第2回。今回は木=キヘンの漢字を使った難読地名を取り上げます。

(問題文をクリックすると答えがご覧いただけます)
第1問
鳥取市の東端、国府町(こくふちょう)地区にある「楠城」はなんと読みますか?
〈楠城〉地区は日本海に注ぐ千代(せんだい)川の支流、(ふくろ)川の上流山間部にあります。
 江戸時代の元禄14年(1701)に、それまでの「苗代」の表記を「楠城」に改めたといいます(JK版「日本歴史地名大系」)。
第2問
岐阜県山県(やまがた)市の南部にある「大桑」はなんと読みますか?
〈大桑〉は長良(ながら)川水系に属する鳥羽(とば)川上流部の丘陵地帯にあります。美濃和紙の産地に近く、江戸時代には幕府御用紙納入の年季請負を勤めていました(JK版「日本歴史地名大系」)。
 大桑は「おおくわ」と読むのが一般的でしょうか。では「おおくわ」「おおくわ」「おおくわ」………と、10回続けていってみましょう。
第3問
栃木県芳賀(はが)市貝(いちかい)町の「椎谷」はなんと読みますか?
〈椎谷〉は市貝町北西部の丘陵地にあり、浅い谷が発達しています。
 椎谷は「しいや」と読むのが一般的でしょうが、谷地形にカイ(ガイ)と名付けることは広くみられます。そうすると、栃木県の椎谷は「しいがい」でしょうか。「しいがい」「しいがい」「しいがい」………と、10回続けていってみましょう。
第4問
島根県邑智(おおち)美郷(みさと)町の北西部にある「枦谷」はなんと読みますか?
〈枦〉の字は俗字、正字は〈櫨〉。枦谷は、江戸時代の史料には「櫨谷村」とみえ、石見(いわみ)銀山の銀山御囲村(石見銀山の坑内支柱となる栗材、灰吹銀精錬用材、また坑内作業に必要な物品などを供出する義務を負った。)に指定されていました(JK版「日本歴史地名大系」)。
 漢字の〈櫨〉の木=キヘンを金=カネヘンにかえると、〈鑪〉(たたら)になります。古く島根県では〈鑪〉を用いた製鉄が盛んでした。〈谷〉の字は、前問の〈椎谷〉と同様に〈ガイ〉と読みます。
第5問
奈良県生駒(いこま)平群(へぐり)町にある「椹原」はなんと読みますか?
〈椹原〉は平群町の南部、生駒山地東方丘陵の谷間にあります。
 〈椹原〉は、古くは「藤原」とも記し、鉄漿(お歯黒)に使う、付子(ふし)を採集・乾燥、出荷していました(JK版「日本歴史地名大系」)。付子とは「五倍子」とも書き、「ヌルデの葉茎にできる虫こぶ。ヌルデノミミフシが寄生して生じるもの。殻にタンニンを多量に含み(中略)古くは女性のおはぐろに用いた」(日国オンライン)とあります。
第6問
宮城県大崎(おおさき)市の古川(ふるかわ)地区にある「楡木」はなんと読みますか?
〈楡木〉は大崎市南部の田園地帯にあります。JK版「日本歴史地名大系」で「楡」の字の見出し検索を掛けると、十数件がヒット。問題の「楡木」のほかは、福岡県の「楡生」がニレウ→ニリョウと音韻変化したのを除き、「楡」の字の読みはすべて「にれ」でした。
 「日国オンライン」では、「楡」は「ニレ科ニレ属の植物の総称。北半球の温帯を中心に分布し、日本にはハルニレ、アキニレ、オヒョウの三種が自生する」とあります。そこで、今度は「日国オンライン」で「ハルニレ」「アキニレ」の方言を調べてみました。両者の方言で、共通するものをあげるとアカダモ、ネリ、ネリギ、タモノキなどがあります。
「宮城県大崎市古川楡木」

Googleマップのページを開く

皆さん、いくつできましたか?